妻の不倫がわかってから数日間、食事が喉を通らない。
夕食だけはなんとか食べていた気がする。
妻に不倫に気付いたことを悟られない様、普段通りの自分を演じなければならない。
普段通りの自分ってどんなだっけ?自分で自分がわからなかった。
いつも通り喋れてるかな?笑えているかな?
感情が除々に死んでいくのがわかった。
気付けば体重が数日で3kgも減っていた。
結婚式に向けてダイエットした時は3kg落とすの2カ月かかって大変だったのに、こんなに簡単に落ちるんだな…
僕は今後妻とどうしたいんだろう?
不倫を認めさせて離婚?それともまたやり直す?そもそもこれからどうなるんだろう…
ずーっと頭の中はごっちゃごちゃだった。
頭が痛い…色々考えすぎて脳の血管が切れてしまうんではないかと思った。
親には話せない…でも、もう限界だ。
とある仕事終わりの夜、僕は心から信頼している友人に電話をかけた。
僕「よっ」
友「なんかあった?」
僕「なんでわかるの?」
友「なんとなく声の感じでいつもと違うから。仕事?奥さん?」
僕「よっ!しか言ってない!笑、嫁のこと。実は不倫してるみたいでさ・・・」
友「もう確実なん?」
僕「うん」
友「ジンはどうしたいの?」
僕「自分でもどうしたいか今はわからない。まだ気持ちの整理がついてなくてさ。正直、僕の足りない部分もあったとは思うんだよね。だから、自分のそういう所は反省して、気持ちを伝えてやり直したい気持ちがない訳ではない。まあ、あっちがどう思ってるかは今はわからないけどさ。」
友「いや、反省する必要ないだろ。一生懸命やってたよ。お前はいつも人のこと考えすぎなんだよ。」
僕「・・・ありがとう(やめろ!涙腺が崩壊する!)。ただ、忙しくてないがしろにしてた部分はあると思うんだよね。」
友「探偵とか雇うの?」
僕「迷ってる。そこまでする必要があるのかどうかもわかんないし、そんなに金ない(笑)。けど、あっちも既婚者みたいなんだよね。」
友「どうするにしても雇ったほうがいんじゃない?」
僕「やっぱそうだよな。〇〇も大変な時に、急にこんな話し悪かった。また連絡する。」
友「全然悪くないから、二度と謝るな(笑)。お前はいつも人のこと考えすぎなんだよ。こんな時くらい自分のこと優先しろ。」
僕「やめろ、泣く(泣)!!」
友「俺は泣いてる(泣)!!」
男二人で気持ち悪く泣いた。
僕はあまり感情を表に出すタイプではないが、なぜかこの友人にはいつも感情を読み取られてしまう。
僕はこの時、誰かに話を聞いてほしくて、背中を押してほしかったんだと思う。
この日から、僕はこの問題を片づけるため動き出した。
不倫が発覚してから数週間くらいのことだったと思う。