久しぶりの一人暮らし
家に帰ると電気がついていない
中に入っても誰もいない
誰かが帰ってくることもない
食事も一人
妻が自分の荷物は持って行っていたため少しだけ部屋の物も少なくなっている
いままで当たり前だったことが一瞬でなくなった。
つらくてつらくて仕方なかった。
こんなこと以上につらいことなんてあるのか?と思うほどにつらかった。
泣いて泣いて泣きまくった
そんな日が続いた。
でも
確かに最初は寂しさも大きかったが、証拠のことも、不倫を認めさせることができるかどうかも、今まで頭の中にたくさんあった悩み事がなくなり
その分すごく気持ちが楽になっていた。
やっと今後離婚するのかやり直すのか
それだけに集中することができる。
僕は離婚するかやり直すかどうかは誰にも相談しなかった。
これは自分で決めなくてはいけないことだから
自分でしか決められないことだから
でも、考えた結果答えはでなかった。
別居期間中も何度か電話でやり取りをしたり、会うことはあった。
でも、お互いに核心に触れる話しはせず探り合っている様な状態だった。
そしていよいよ今後どうするのか話しをするタイミングがやってきた。
まずは妻にどうしたいかを聞いたが妻は僕にどうしたいかを聞いた。
まあそうなるか…という思いもありつつ
少し間を置いて
「…離婚しよう」
そう答えた。
妻も「…私もその方がいいと思う」
そう答えた。
まだ妻と一緒に居たい気持ちは大きかった。
でもそれ以上に信じていた人に裏切られたことが大きかった、あまりにも自分の中で大きすぎた。
時々僕は誰と一緒にいるんだろうか?と妻のことが誰だかわからなくなる瞬間があった。
赤の他人といる様な、そんな不思議な感覚に陥ることがあった。
平気で嘘をつける様な人だとは思っていなかったから
平気で人を傷つけることができる様な人だとは思っていなかったから
もっと思いやりのある人だと思っていたから
気づけばお互いに泣いていた。
なんでこんなことになったんだろうな。
そして僕たちは離婚することになった。